出会いの喜び
こちらの介護施設に来て、2年半ほどになる。それ以前は静岡県裾野市に20年近く住んでいた。裾野市では高齢者支援制度が充実していて、申し込めば利用できた。家事手伝い2時間、ガソリン代350円を支払えば、シルバー人材センターからお手伝いの人が来てくれた。裾野にいた間、週に一度、お願いしていた。 数日前、その時お世話になっていた方が突然訪ねてこられた。裾野を出るとき、お別れの挨拶をし、東京の施設に移ることを話していたので、探して来てくださったのだろう。「これを」と言って、差し出されたものを見て、びっくりした。裾野にいたときに、「手作業をするのが好きです。なにかあったら作りますよ」と言われて、母の着物地があったので、預けていた。そんなことはすっかり忘れていた。着物地から可愛い手提げとお財布が、すべて半返し縫いで作られていた。 涙が出そうになった。お礼の言葉も思いつかなかった。 これを縫って、わざわざ裾野から東京まで届けてくださる!「親切」という言葉でひとくくりできない。心温かい方の贈り物で、私の心もポカポカ。