金子みすゞの信仰
金子みすゞの詩集を読んでいる。「蜂と神さま」というタイトルの詩は次のようである。 蜂はお花の中に、 お花はお庭の中に、 お庭は土塀の中に、 土塀は町の中に、 町は日本の中に、 日本は世界の中に、 世界は神さまの中に。 そうして、そうして、神さまは、 小ちゃな蜂のなかに。 これを読むと、「私も同じ信仰をもっている」と思う。 「蓮と鶏」という詩には、別の感想を持った。 泥の中から 蓮が咲く。 それをするのは 蓮じゃない。 卵のなかから 鶏(トリ)が出る。 それをするのは 鶏じゃない。 それに私は 気が付いた。 それも私の せいじゃない。 蓮を咲かせ、ひなをかえらせる大きな生命力、すべてのものに宿る神さまの力が存在する。それに気が付いたのは、自分でできたことではない。自分に宿る同じ神さまの力だということが、最後の節の「それも私のせいじゃない」に含まれるだろう。 私なら「それに私は気が付いた」で終わってしまう。みすゞの信仰の深さに心を打たれた。