ショウジョウバエの睡眠

ショウジョウバエの睡眠に関する新聞記事があった(朝日朝刊、6月24日)。長い記事をかいつまむと、次のようである。

眠らないハエを調べると、脳の神経伝達物質ドーパミンのブレーキ役の遺伝子が欠けていることが判明。ドーパミンは人間の脳でも重要な働きをする。覚醒のほか、学習や記憶、感情、意欲、運動の調節など。人は、昼と夜の変化に同調し、ほぼ24時間の周期で体内の環境を変えている。この「時計遺伝子」は、ショウジョウバエと人と同じであって、生物の全身の細胞にあって時を刻んでいることが分かった。

この記事を読んで、ショックを受けた。うまく説明できないが、私には、空や海や大地に放射能をまき散らしたりしない、自然を尊んでいる、といったような自負があった。それがペチャンコになった感じがする。同じように造られているのに、ショウジョウバエを一段下に見ていた。さげすんでいるものは消えてしまってもいいと、無意識に思っている。これが自然破壊の原因になるのではないか。ウジ虫が増えては困るけれど、それは人間の都合に過ぎない。

上記の研究を続けておられるのは、名古屋市立大学教授の粂和彦氏である。時計遺伝子の研究は世界的にショウジョウバエで先行し、その後、時計遺伝子がヒトやマウスでも確認された。「体内時計という高度な『行動』をつかさどる遺伝子が人間とハエで同じなんて、という驚きがありました」と言われているように、氏自身も驚かれたらしい。

氏の研究室には、常時、1万匹以上のハエが試験管の中で生きたまま保管されているとのこと。ハエを消すのではなく、育てる。その研究によって、ヒトの睡眠が解明されつつある。





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