縁をつなぐ学長マザー・ブリット

聖心大の学長だったマザー・ブリットの秘書を2年近く務めていたとき、息子の結婚相手の紹介を願うお母さんのため通訳をすることが一度ならずあった。大学初期の卒業生の中では、マザーの取りもたれた縁で結婚した方が何人かいらっしゃるだろう。

つい先ごろ、90歳になる方の話を聞いた。マザーから紹介されてある修道会に入会したという。半世紀以上前のことになる。大学4年生で卒業まじかのころ、マザーに呼ばれ、”Sisters came from Kyoto."と言われて、アメリカから来たばかりの2人のシスターを紹介された。京都で新しく修道院を開こうとしているシスターたちだった。京都出身で、卒業後はシスターになることを希望していた彼女は、すぐにその修道会に入ることを願い出た、と話しておられた。その学生が京都出身で、将来は修道女を目指していることを知らなければ、こんな縁結びはできなかっただろう。当時、大学の総学生数は500人くらいだった。

マザーは学者というよりも、優れた教育者だった。講義としては、1年次、2年次にはEthics(=倫理)、4年次にはCurrent Events(=時事問題)を教えられた。そのほかに、歩き方、年上の方に対する礼儀、ドアの開け閉めの仕方、などなど生活面についても、細かく指導された。昼休みの時間にGeneral Assembly と称して全学の集まりがあり、そのときに生活指導をされた。

私自身がマザーから教わったもっとも大きなことは、祈りである。私の在学当時、寄宿生は全員、朝6時半のミサ出席が義務だった。その前の15分間、希望者15、6人が1教室に集まった。マザーがイエスの生涯の1場面などを取り上げ、それを祈るように導かれた。願いごとをする祈りだけでなく、イエスと語り合うことを学んだと思う。イエスとの縁を結んでいただいた。


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