セカンド・チョイスとその後(2)
高等学校から大学に戻り、キリスト教入門や聖書学を教えた。数年して、キリスト教を知識として教えていることに何か物足りなさを感じるようになって、もっと信仰の面からアプローチできないかと思うようになった。具体的には、キリスト教の霊性について学びたくなった。
第一希望はアメリカ東海岸のフォーダム大学神学部だった。修道会の上長に希望を出したところ、それは拒否された。代わりの案として、シカゴにある霊性研究所の9か月のプログラムなら許可する、とのこと。で、そこに行くことにした。
その霊性研究所は、ロヨラ大学の付属機関だった。9か月間、鏡に映る自分の顔を見るように、自分自身と向き合わされた。52キロあったあった体重が、9か月が終わるころには47キロに減っていた。心のぜい肉も落ちたと思う。フォーカシングという、体に注意を向け、体から教わる方法も学んだ。夢や昔話が心の世界の表出として読み、体験する方法を知った。
取り上げていた昔話は、アメリカ・インディアンのものやグリム童話などだった。日本の昔話だとどうなるのだろう、という命題を抱えて帰国した。45歳だった。60歳の時、「日本昔話の霊性」という本を出版してもらった。セカンド・チョイスの実りの一つである。