捨てがたい物

ここのところ、身辺整理に励んでいる。本はほとんどすべて処分できた。苦労して手に入れたものもあり、またどこかで役に立つかもと思い、「もったいない本舗」という古本業者に段ボール箱につめて送った。送料は先方負担なので、助かった。次に、ためていた郵便物整理を始めた。心に残るものを残していたので、処分がむつかしかった。姪や甥が子どものころに度々くれた手紙は、燃えるごみとして出すに忍びなくて、空き缶の中で燃やした。

今、捨てられなくて困っているものがある。プラスチック製プリンカップの底中央に穴をあけ、糸を通して、その先に5円玉をぶら下げてある。風鈴のようになっているプリンカップには、星型の小さなシールがあちこちに張り付けてある。父が亡くなって、葬儀の後、弟に「さびしいね」というと、彼も同じように「さびしいね」と話し合っていたとき、弟の息子が「おばちゃん、これ」といって、差し出してくれたものだ。

現在、制作が注文に追い付けないほどの陶芸家になっている甥の、10歳のころの作品である。40年ほど前のもので、飾り棚の中で、少しほこりをかぶっているが、捨てられない。あの時もらった、心にじわーっとくる慰めをよみがえらせてくれるからである。

キンモクセイの木の下にでも埋めようかしら。

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