Restart のいろいろ
同窓会の会報が届いた。"Restart" をテーマに集まった投稿がのせられていた。「北京パラリンピックに出場するまで」という記事が、最も印象に残った。健康優良児だった筆者は、社会人2年目に膠原病を発症し、片方の手足が麻痺、目にも眼球運動障害が残った。その後、長野パラリンピックで義足の選手が滑っているのを見て、「私には自分の足がついている。何とかスキーは滑れるはず」と思い立つ。障害認定を受けたのは38歳。そこからパラスポーツを始める。41歳でパラアルペンスキーを始めるが、その矢先、がんの宣告。手術の影響で左足が動かせなくなる。まだ自分の足がついているからと、本格的にコーチについて練習を始めたのが44歳。その後、ジャパンチームに入り、北京パラリンピックの出場権を獲得した、という内容だった。筆者の折れない心に頭が下がった。
「ハングルは、発音するときの口の形がもとになってるんだって」。一緒に暮らしているシスターが、手にしている本を見せながら話しかけてきた。韓国語入門の本を2冊をもっている。図書館から借りてきたそうである。私たちの修道会では、会員数が少なくなり、高齢化が進んでいる現実をふまえて、国ごとに管区として独立するのではなく、いくつかの国が一つのユニットとなる編成に移行しようとしている。日本は、オーストラリアと韓国とユニットになる方向に向かっている。先のシスターは英語は堪能だから、韓国語を学ぼうとしているのだろう。80歳を過ぎている。私はこの頃、聞いたばかりのことを、すぐに忘れてしまうことが多い。昔のことは覚えているのに。韓国語に取り組む気力はない。こちらも頭が下がる。
私は歯医者さんで、歯の治療中にあごが外れてしまうことが、たびたびある。行きつけの歯医者さんは、それを知って、対応してくださるので、少々遠方だったが、そちらに通っていた。コロナになって、電車を乗り継いでそちらに行くのが怖くなり、近くの歯医者さんに行くことにした。初診で、歯科衛生士さんが歯に何かを塗り、「口をゆすいでください」。それから鏡を手渡された。歯が濃い紫色になっている。「歯の汚れです」とのこと。私は一日に一回、夜、歯を磨くことにしていた。糸ようじや歯間ブラシを使って、念入りにやる。けっこう、時間がかかる。そこの歯医者さんに貼ってあるポスターに、「一回3分、一日3回」とある。思い立って、それを実行することにした。何か月が続けていると、口の中がさわやかな感じがする。私のささやかな Restart である。