短い小説

小説家のヘミングウェイが酒場で飲み友達と賭けをして、「おまえ物語を作る仕事してるんだから、六個の単語で物語を作れるか」と言われ、「できる」と言って、その賭けに勝ったというエピソードがあるとか。ヘミングウェイが作った物語というのは、"For sale: baby shoes, never worn."  日本語に訳すと、「売ります、赤ちゃんの靴、未使用」。晩年になってヘミングウェイは、あれが俺の最高傑作だって言ったとか。ヨシタケシンスケ著『思わず考えちゃう』に書かれていた逸話である。

この本を拾い読みする1時間ほど前に、私は録画していたTV番組「プレバト」を見ていた。千原ジュニアが

   サンタへの手紙 貼られたままの春

を詠んでいた。17音使われているが、単語としては「サンタ」「手紙」「貼られた」「春」の4語。「への」「ままの」の2語を足して、6語になる。

「売ります、赤ちゃんの靴、未使用」も、赤ちゃんはどうなったのか、想像させる。俳句のほうも、手紙を書いた子はどうなったのだろう、親が離婚したのだろうか、などと思いめぐらしたくなる。

どれだけ少ない条件でその奥にある何かを表現する。俳句は優れた方法の一つといえるだろう。

追記
このブログの下書きをし公開する直前に、圧迫骨折をして、2か月間、入院をしていた。無事退院し、コルセットをして、よろよろと歩いている。


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