ゾッとする
ティーバッグを入れお湯を注いだカップを、テーブルの私の席に置いた。それからパンや果物が置いてある食堂奥の大テーブルに行き、お皿にパンとチーズをのせて、自分の席の戻ってくると、ティーカップがない。「さっき置いたはずだけどな」とあたりを見回してもない。置いたつもりだけれど、記憶力がおかしくなりはじめたのかなと思うと、ゾッとした。
仕方がないから、もう一つティーバッグを取り出して、カップに入れ、お湯を注いてお茶を作った。私はカフェインがダメなので、黒豆茶を飲んでいる。一袋10円の安いものである。普通の紅茶のティーバッグについているような糸が付いていない。飲むときには、スプーンなどで取り出す。
私が食事を始めるころには、お隣の席の人もお皿とカップをもってきて座り、食事を始めた。その人がカップからティーバッグを取り出すのを見て、気が付いた。そのティーバッグには糸が付いていない。90歳をこえた人が、私の入れていたお茶のカップを自分のものと間違えたのだ。私もその年齢になれば、同じようなことをするだろう。でも、今のところ、まだ大丈夫のようだ。ゾッとしたり、ホッとしたり。