さりげなく
建物の入口の前で折りたたみ傘をたたもうとして、もたもたしていた。前を通りかかった若い女性がすっと近づいてきて、傘を手に取り、たたんでくださった。「ありがとうございます」とは言ったものの、その方の動作のさりげなさに驚かされた。
私だったら?と思わずにいられなかった。大きなことだったら、何かできることならと近づかずにいられなかっただろう。ささいなことだけに、見知らぬ人に近づき、その持ち物に手を出す前にあれやこれや考えるだろう。その2,3秒のあいだに、問題は解決してしまっているかもしれない。
温かい心遣いは、私の心にホンワカとしたぬくもりを残してくれた。2,3日前のできごとなのに、今も忘れられない。