旧約のユダと新約のユダ
聖週間の水曜日の朝、聖書朗読はユダの裏切りの話だった。ユダはイエスを銀30枚で売る。司祭は説教で、この出来事と旧約聖書との関連を指摘された。旧約聖書のヨハネと12人の兄弟たちの物語では、兄弟たちはヨハネをねたんで殺そうとする。兄弟の1人ユダはヨハネを殺さずに、通りかかった隊商に銀20枚で売ることをすすめ、そのようになる。司祭はその関連を指摘し、聖書を大きな流れの中で読むように勧められた。
司祭の指摘が心に残り、聖書を開いた。ユダがイエスを銀30枚で売るという話は、マタイ福音書だけに記されていることに気付いた。他の福音書(マルコ、ルカ、ヨハネ)には記されていない。マタイは旧約聖書のヨハネの話との結びつきを何らかの意図をもって付け加えたと考えられる。
ヨハネは兄弟たちによって隊商に売られ、エジプトへ連れていかれる。ファラオの夢を読み解き、王に仕えるようになり、エジプトを飢饉から救う。飢饉が全世界に広がり、ヨセフの兄弟たちも飢えに苦しむ。彼らはエジプトに行き、王の高官になっているヨセフから穀物を与えられる。
ヨセフの兄弟ユダはヨセフを売る。その結果、飢饉に面した時、ヨセフに救われる。イエスの弟子ユダもイエスを売る。その結果は?マタイ福音書は、ユダの罪の結果も大きな救いへつながることを暗示するのではないだろうか。
ヨハネは通商人たちに売られるが、エジプトでファラオに気に入られる。飢饉のときに助けを求めに来た兄弟たちを救うことになる。イエスも同じように売られる。しかし、その苦難によって人々が救われる。