毒ダミ茶

ここのところ、私たちのところでドクダミ茶が流行っている。買ってくるのではなく、近くに生えているドクダミの葉を煎じてお茶にするシスターがいるためである。いろいろ効能があるらしいが、ドクダミの名前から毒のあるものと思い込んでいた人も、今はそのお茶を飲んでいる。辞書を引くと、ドクダミの名は毒を止めるの意味から来るとのこと。

関西で過ごした子どものころ、ドクダミと言わず、ジュウヤクと呼んでいた。戦前・戦中の子ども時代、薬屋さんより野草のほうが身近にあった。傷口が膿んだりすると、母はジュウヤクを摘んできて笹の葉に包み、火にあぶる。笹を開くと、ジュウヤクはどろどろになっている。それを膿んでいるところに乗せる。しばらくすると、膿が出てしまう。そのジュウヤクは「十薬」だったと、今回ドクダミについて調べていて知った。お茶にして飲んだことはなかった。

やはり子どものころ、熱が出た時、母が湯飲みに入っている白湯を飲ませようとした。変な匂いがするので、そう言うと、「そんなはずはない」。玉ねぎを切っていたので、その匂いが手についているのだろう、と言う。出された白湯を飲んだ。熱が下がってから、あれはミミズを煎じたものだったと聞いた。ゲッ!知っていたら、飲めなかった。今になると、生きているミミズを煎じたものに解熱作用があるという知識を、20代半ばの母がどこから得たのだろうと思う。薬がたやすく手に入らなかった時代、こんな民間療法がふつうに知られていたのか。今では風邪薬より生きているミミズのほうが手に入りにくいだろう。

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