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進化する補聴器

シャカ、シャカ、シャカ・・・・広げている新聞をめくるごとに音がする。「こんな音がするものだったっけ」と思う。そういえば、朝から補聴器をつけていた。 耳の具合がおかしくて病院に行った。検査の結果、軽い難聴とのことで、補聴器をすすめられた。予約をして次回行くと、詳し――い聴力検査の後、補聴器屋さんのいる部屋に呼ばれた。「これを付けてみてください」と言われて、渡されたものをつけた。ごく小さい器具を耳の上にのせ、それにつながる細いプラスチック状の線の先の耳栓を耳に入れる。すると、すぐに違和感なく聞こえがよくなった。3週間貸し出しということで、朝から耳につけている。 以前、知っている人が補聴器を作ったとき、聴力検査のあと数日して、補聴器ができあがった。その後、調整のために、なんどもお店に通っていたことを知っていた。面倒なことになるだろうな、と予想していた。しかし、驚いたことに、 その1: 聴力検査のすぐ後にできあがった。 その2: 調整も必要なかった。 私が知らなかっただけだろうけれど、補聴器も進化しているのだ。それも、聞こえをよくするだけでなく、不要な騒音は小さくなっているらしい。 進化している補聴器に驚いた。そのお値段にも。

103歳からのお知らせ

「ご希望の方 お読み下さい。おすみになりましたら、〇〇までお返し下さい」というメモのついたクリアファイルが、集会室のテーブルの上に置いてあった。〇〇は、103歳のシスターの名前である。 中には、5月9日付の毎日新聞夕刊の切り抜きが入っていた。見出しは、「大阪 明治の『信徒発見』」で、関西での隠れキリシタン発見年についてであった。通説では1920年とされる。この通説を40年ほどさかのぼる史料がフランスで保存されており、その史料を京大人文科学研究所の紀要「人文学報」120号が掲載しているとのことである。 同じ新聞を読んでいながら、この記事は私の記憶にない。

ガーコ?

今朝7時ころ、大きなカラスが部屋の前のベランダの手すりの上をヒョコヒョコと横切って行った。まさかガーコが裾野から来たのじゃないだろう。その辺のカラスが来たのかしら?私がカラス族の匂いでもするのかしら。いずれにしろ、嬉しかった。

ゾッとする

ティーバッグを入れお湯を注いだカップを、テーブルの私の席に置いた。それからパンや果物が置いてある食堂奥の大テーブルに行き、お皿にパンとチーズをのせて、自分の席の戻ってくると、ティーカップがない。「さっき置いたはずだけどな」とあたりを見回してもない。置いたつもりだけれど、記憶力がおかしくなりはじめたのかなと思うと、ゾッとした。 仕方がないから、もう一つティーバッグを取り出して、カップに入れ、お湯を注いてお茶を作った。私はカフェインがダメなので、黒豆茶を飲んでいる。一袋10円の安いものである。普通の紅茶のティーバッグについているような糸が付いていない。飲むときには、スプーンなどで取り出す。 私が食事を始めるころには、お隣の席の人もお皿とカップをもってきて座り、食事を始めた。その人がカップからティーバッグを取り出すのを見て、気が付いた。そのティーバッグには糸が付いていない。90歳をこえた人が、私の入れていたお茶のカップを自分のものと間違えたのだ。私もその年齢になれば、同じようなことをするだろう。でも、今のところ、まだ大丈夫のようだ。ゾッとしたり、ホッとしたり。