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好きですか

「何が好きですか?」部屋に来た介護士さんにたずねられる。「散歩とか」と返事する。「お祈りは?」と聞かれ、「えー」となり返事ができない。「すきな食べものは?」「生クリーム」と返事する。何年も前になるけれど、生クリーム1パックを泡立ててボウルごと誕生祝いにもらった。フイッパーそのものをまず舐めて、残りを少しずつ平らげたことがある。「生クリーム」と言うと、「たとえばシュークリームとかですか?」「そうそう」 介護士さんが引きあげてから、なぜ私は「お祈りは好きですか」に返事ができなかったのだろうか考えた。午前中に1時間、午後30分が、修道院に入って以来の習慣になっている。でも、好きか嫌いかで考えたことがない。「ご飯は好きですか」と聞かれるのと同じ感じがする。

創立者のご遺体

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  50年前、終生誓願準備の養成期間がアッシジで開かれた。それに参加する途中、私はベルギーのジェットの修道院に寄らせてもらった。聖心会の創立者マグダレナ・ソフィア・バラのご遺体がそこに安置されているからだった。 修道院の敷地内の小さな聖堂の祭壇の下に、ご遺体はガラスのケースに収められ、安置されていた。1977年に生まれ、1865年に亡くなっている。死体という感じは全くなく、一人の修道女が横になって眠っているように見える。私とほぼ同期のシスターが、やはりジェットに行き、お棺の横で寝転んでみたところ、「私と同じくらいの背丈だった」と話していた。 その後、どのようないきさつがあったのか知らないのだが、ジェットの修道院からどこかに移されたと聞いていた。どうなったのか、ずっと気にかかっていた。聖心会の広報サイトで、ぐうぜん、それを見つけた。パリの聖フランシスコ・ザビエル教会に安置されているそうである。上記の写真は、以下のサイトからコピーした。 https://en.wikipedia.org/wiki/ Saint-Fran%C3%A7ois-Xavier,_ Paris いぜん、アメリカにいたときに一人のシスターが、「ミイラみたいな、そんな気味の悪い物はいらない」と言った。「見たのですか」とたずねると、そうではなかった。私にとってご遺体は、この世と死後の世界をつなぐ聖なるもの、という感じがする。

若鳥の想い

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1975年1月5日、アッシジの巡礼宿の小聖堂で、私は終生誓願を立てた。ともに誓願を立てた28人のシスターたちは、スペイン、アメリカ、メキシコ、ポーランド、コンゴ、フィリピン、ドイツで、日本人の私をふくめて計8ヵ国から来ている、シスターの卵たちだった。私たちの共通語はフランス語しかなく、大体みんないい加減にしか話せない。「行った」と言いたくても、フランス語のaller は知っていても、過去形がわからないからaller と言ってから右手を挙げて後ろに振る、「行きましょう」なら前に向かって振る、といった具合。それでもなんとか通じ合って、3か月の養成機関を共に過ごし、1月5日に誓願式となった。 式をどこでするかについて、ローマの大聖堂でしたいという人もいたが少数で、私たちが毎日のミサにあずかっていた巡礼宿の小さな聖堂に決まった。 右の写真は、誓願式の時に自分の誓願文を私が総長のシスター・カマチョに手渡しているところである。写真が薄暗いのは、小聖堂で証明も薄暗かったからである。 ところで今年の1月5日は、この時からちょうど50年になる。「ああ、あれからもう50年か」と感慨深い。でもこんなことを今の共同体で話しても、誰も感心してくれない。ずっと以前に、金祝・ダイアモンド祝・プラチナ祝などを祝った人たちが大勢いるから。この共同体では、私はヒヨコではないかもしれないが、せいぜい若鳥か。 大勢の方々に助けていただき支えられて、神さまの恵みのうちに、ここまで来られた。 皆さまに、感謝。