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谷内六郎館に行った

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谷内六郎について書いた私のブログを読んだという人から、電話をもらった。「谷内の作品が大好きで、なんどか彼の展示館を見に行きました。行ったこと、ありますか?」と尋ねられた。私は展示館のあることも知らなかった。「それじゃ、そのうちにお連れします」と言ってくださった。 先日それが実現した。横須賀市の南東、海に面した丘に横須賀美術館があり、その一部が谷内六郎館になっている。美術館の前に広がる海の先に、房総半島が見える。私の住んでいるところから車で2時間ほどで到着した。 谷内六郎館には、彼の作品の一部50点ほどが展示されていた。右は「夕焼を消す人」いうタイトルの絵である。この絵を見ていると、夕焼がただの自然現象ではなくて、さまざまな想像を広がらせた子供時代を思い起こさせる。その郷愁から、固定概念から離れた世界に、知らずして連れていかれる。 「おとなは子どもの内部に入りこんでその原始のエネルギーを与えてもらうしかないようです」と谷内は言っているそうである。彼の絵は、そのエネルギーを媒介してくれる。 すてきな一日であった。新緑を見ながらのドライブ、久しぶりに見る海、谷内の絵の数々。いっぱい心に残ったが、なによりもこんな一日を作ってくださった方のご親切が、一番心に残った。40数年前の教え子さんである。

共感疲労と祈り

毎日のように新聞やTVでウクライナについての報道を見ていると、気が重くなり、これ以上見たくなくなってきていた。そんな聖週間のある日、ミサのとき、司祭、参加者一同で心を合わせてウクライナのために祈った。ミサ後、重い気分が消えているのに気づいた。苦しんでいる方たちを心にかけ続けよう、と思えた。 最近、『内なる生』(イヴリン・アンダーヒル著、金子麻里訳)という本を頂戴した。ご親切な方が、折にふれて参考になるような本や資料を贈ってくださる。著者はイギリス人の女性で、英国国教会の信徒である。国教会の聖職者たちに語った3つの講話が収録されている。女性が、それも平信徒(といっても、神秘主義についての著書が何冊かある)が、男性の司祭たちに講話をしたことにまず驚き、次にそれが1926年であったことに驚かされた。 著者は、聖職者の仕事は多々あるけれど、まず、祈りによって自らのうちに神の命をいただき、それを伝えてほしい、と力説している。 人間は内なるエネルギーを、自らの力で生み出すことができないように思う。祈りはそのエネルギーをくみ取る方法なのだろう。

旧約のユダと新約のユダ

聖週間の水曜日の朝、聖書朗読はユダの裏切りの話だった。ユダはイエスを銀30枚で売る。司祭は説教で、この出来事と旧約聖書との関連を指摘された。旧約聖書のヨハネと12人の兄弟たちの物語では、兄弟たちはヨハネをねたんで殺そうとする。兄弟の1人ユダはヨハネを殺さずに、通りかかった隊商に銀20枚で売ることをすすめ、そのようになる。司祭はその関連を指摘し、聖書を大きな流れの中で読むように勧められた。 司祭の指摘が心に残り、聖書を開いた。ユダがイエスを銀30枚で売るという話は、マタイ福音書だけに記されていることに気付いた。他の福音書(マルコ、ルカ、ヨハネ)には記されていない。マタイは旧約聖書のヨハネの話との結びつきを何らかの意図をもって付け加えたと考えられる。 ヨハネは兄弟たちによって隊商に売られ、エジプトへ連れていかれる。ファラオの夢を読み解き、王に仕えるようになり、エジプトを飢饉から救う。飢饉が全世界に広がり、ヨセフの兄弟たちも飢えに苦しむ。彼らはエジプトに行き、王の高官になっているヨセフから穀物を与えられる。 ヨセフの兄弟ユダはヨセフを売る。その結果、飢饉に面した時、ヨセフに救われる。イエスの弟子ユダもイエスを売る。その結果は?マタイ福音書は、ユダの罪の結果も大きな救いへつながることを暗示するのではないだろうか。 ヨハネは通商人たちに売られるが、エジプトでファラオに気に入られる。飢饉のときに助けを求めに来た兄弟たちを救うことになる。イエスも同じように売られる。しかし、その苦難によって人々が救われる。

卵の薄皮から作る下着

卵の殻についている薄い皮を卵殻膜と呼ぶらしい。朝、ラジオ体操のあと水を飲みながらテレビを見ていると、これに殺菌力があるので、繊維にして、赤ちゃんや幼児の下着が作られたことを報じていた。 卵の命を守るための自然の配慮に驚いた。そして、捨てるものを減らしたいと思い立ち、新しい発明をする人々に頭が下がる。 インターネットで検索すると、キューピーでは、マヨネーズ製造時に大量に出る卵殻の研究が進められているとのこと。 卵殻膜はタマゴの殻の内側にある薄膜のことです。 主成分はタンパク質で、二層の網目状構造をしています。 外側は粗く、内側は密な構造になっています。 古くは力士が怪我をした際に傷口に卵殻膜を貼り、傷を早く治したと言われています。しかし、卵殻膜は水に溶けないため、使い勝手が悪く、ほとんど活用されていませんでした。 そこで、効果のある卵殻膜を無駄にしたくないとの思いで、卵殻膜を水に溶けるようにする技術や微粉末にする技術を確立しました。今では、これらの技術を用いて、卵殻膜は食品や化粧品、繊維等さまざまな商品に配合されています。 (http://www.kewpie.co.jp/RandD/finechemical/rankaku.htmlより) NHKは企業名を出さないため、キューピーの名にふれなかったのだろう。 毎日捨てている色んなものも、活用できるものかもしれない。