誕生以前に洗礼?
長崎生まれの97歳のシスターの戸籍には、昭和2年1月7日誕生とある。昔は年齢を数え年で数えた。生まれたときが1歳、お正月が来るごとに1歳を足す。12月生まれは満では0歳でも、数え年だとお正月が来れば2歳になる。親はそれを避けるため、誕生をお役所に届ける際に、1月初めにしたのだろう。 この人の受洗証明書には、大正15年12月27日とある。洗礼証明書は、洗礼を受けると記録される教会の台帳にもとづいて作られる。生まれてすぐの赤ちゃんを真冬に洗礼のため教会に連れていかないだろう。誕生は12月27日以前だったと思われる。大正15年12月25日には大正天皇が崩じ、同日に昭和元年が始まる。この人の誕生は、おそらく大正年代だったのではないか。 このシスターの誕生は、戸籍上では昭和2年1月7日である。書類上、この人は誕生以前に洗礼を受けたことになっている。